君のブログに恋をして〜人生の墓場編

何かを変えなければ、そんな焦りの中でハローワークに通い詰めた。
ハローワークの求職担当のおばちゃんがやけに馴れ馴れしくなってきたのが気に障りかけてきた。
結局、前職と同じような食料関係の営業職しか見つけられず、それに応募した。
面接では、前職で身につけた自信ありげな話ぶりが功を奏したのか、その場で採用の結果を耳にした。
経験者枠での採用で給料もそんなに悪くはない。
男は風向きが変わったような気がした。

男は30歳になっていた。
男には夢があった。
結婚をして、子どもを持ち、家と車を買うという、いたって平凡な夢。
がむしゃらに働いた。

が、大して変化のない日々。
つまらない日常の繰り返し。
いつもの癖が出てきた。
だんだんと嫌気がさしてきた。

そんな夜は決まって出会い系サイトを冷やかしていた。
2つ年下の隣町に住んでいるらしい女の子にコンタクトを取ってみた。
正直言って好みの顔立ちではなかった。
男は自分の見た目に自信を持てずにいた。
そんな自分と釣り合う女の子だ。
似たような町に住んでいることに安心感を覚えた。
会ってみるとハキハキしていて好感が持てた。
結婚式場での事務、派遣で働いている女の子だった。
結婚適齢期を過ぎた彼女は男に結婚を迫った。
男は結婚に踏み切る気持ちになれないでいた。

それどころではなかったのだ。
彼女とのデートで使った領収書を営業経費の領収書に混ぜていたのだ。
簡単に騙せる経理に、男は真面目な顔をして、デートで使った喫茶店の領収書を混ぜていた。
同じことを繰り返す自分に呆れながらも、それを止めれなかった。
結局、男はそのことがバレる前に、会社を辞めた。
彼女には結婚をするなら将来的なことを考えて転職したいと最もらしいことを言った。

その頃には2人は一緒に暮らしていた。
彼女は結婚を前提のその暮らしを確実なものにしたかった。
男は彼女の母親にも責められた。

「適齢期を過ぎた娘をどうしてくれるのだ!」
「無職でどうするつもりなのだ!」

自分の母親にも詰問されたことがない男は内心イライラした。
半ば押し切られるように、挙式の日が決められた。
そうなのだ、彼女の職場である結婚式会場の職場割引を利用した。
新婚旅行はカナダに行った。
同時に自販機販売の営業という職にも就いた。
外目には幸せそうな2人に見えた。
実際、幸せだった。
自分たちの城を作るという同じ目標があった。
妻となった女も働いた。

同じ目標を語るときは幸せに感じた。
だが、ハキハキした性格の女が口のうるさい妻へと変貌していった。
妻の愚痴を遠くに聞きながら、男は人生の墓場という言葉を繰り返すのだった。