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君のブログに恋をして〜束の間の幸せ編

著者:馬詰道代
公開日:2017/09/18
最終更新日:2017/09/18
カテゴリー:フィクション

喧嘩といえる言い争いなら良かったのに。
いつも一方的に妻に言い負かされる男であった。
妻は大学を出ていたのだ。
いつも最後は「高卒のくせに」と詰られた。
男は言い返せなかった。

自分ひとりの力では、到底家を持つことなどできない。
そんなに早くもない結婚であったが、しばらくは共働きをして、お金を貯めるのだ。
自分たちの家を建てるのだ。
結婚をして家を持つ。
男の見栄とくだらないプライド。
それだけが心の拠り所であった。

男は自分を慰めた。
家を建てたら変わるかもしれない。
子どもができたら変わるかもしれない。

妻もまた嘆いた。
適齢期を過ぎて見つけた相手だった。
もう少しマシな男がいたかもしれない。
この男といて幸せになれるのだろうか。
職場割引で開いた盛大な挙式だった。
今さらもとには戻れない。
妻も見栄とくだらないプライドに塗れていた。

似たもの同士の2人は
妻の機嫌のいいときはそれなりに幸せだった。
家を持つために働いた。
自分たちの家について、あれこれ意見を交わすのは楽しかった。
親からの助けもあり、35年ローンで念願の家を買った。
都会では到底手に入れることのできない広さの家。
小さいながら庭も設えた。
バラの木を植えた。
家の外観とともに、外めには幸せな2人に見えた。
職場までの通勤時間は大して気にはならなかった。
それより”持ち家を持つ”ということに男のプライドは満足していた。

見栄っぱりの妻も家に友だちを招いては自慢した。
友だちの中には大学卒の夫を持ちながら賃貸住まいで満足している女もいた。
優越感に浸った。

妻の機嫌の良さに男は満足した。
70歳までは働かなくてはいけない。
気が遠くなるようなローンも妻の機嫌の良さでごまかせた。
程なくして妻が妊娠した。
男は喜んだ。
30半ばで初産の妻は悪阻もひどかった。
男は妻と妻のお腹にいてるまだ見ぬ我が子のために、妻の身を案じた。
元々が我儘な女だったのが、ここぞとばかりに無理を言う妻になった。

女は子どもという武器を持つとより我儘に、そして強くなる生き物なのだ。
そんなことを知らない男は妻の機嫌に一喜一憂した。

悪阻を理由に朝は寝ている妻を起こさないよう、そっと家を出て仕事に行った。
仕事の帰りに食材を買って帰り、妻のために晩ご飯を作った。
寝るまでに洗濯機を回した。
洗濯物を干してから寝る。
そんな日々ももう直ぐ会えるであろう我が子を思うと苦にならなかった。

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