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用語の定義は明確に!

株式会社クローバーフィールドの経営理念
著者:高木信尚
公開日:2017/10/08
最終更新日:2018/06/21
カテゴリー:雑記

高木です。こんばんは。

金曜日は馬詰と二人で、社員のアピール文を「ああでもない」「こうでもない」といった感じで作っていました。
そのアピール文は他社の営業に対するものなのですが、私としては他社の営業についての理解が浅いためにいろいろ困ることが多いのです。

具体的にいえば、他社の営業がどの程度までツッコんだ内容を理解できるのかとか、営業間でのみ通用する暗黙知にどのようなものがあるのかとかが、私にはわからないのです。

以前、「『VC』って何?」という記事を書きました。
そこでも指摘したのですが、SESの営業間で普通に使われている「VC」という用語が、私にはまったく理解できないのです。

馬詰からも、今回アピール文を作成していた社員が「VC」ができるかどうかを尋ねられました。
しかし、「VC」が一体何を指すのかがわからないことには、できるともできないともいえません。

たとえていうなら「パソコンできますか?」と尋ねられるようなものなのです。
この質問に正確に回答するには、「パソコン」とは何か、「できる」とは具体的にどのような状態かを定義しなければなりません。

「パソコン」といっても、WindowsもあればMacもありますし、Linux等のいわゆるPC-UNIXもあります。
「VC」が20年ほど前のMicrosoft Visual C++ 6.0を指すこともあることを考えると、「パソコン」も20年ほど前のPC-9821でWindows 95とかMS-DOSとかも考慮しないといけないはずです。
Macといっても漢字Talkと呼ばれていたころのものかもしれませんよね?

「できる」というのも難しい話で、さまざまな設定変更やトラブルシューティングまでできないと、とても「できる」とはいえません。
「Windowsができます!」と豪語しているのに、コマンドプロンプトやPowerShellも使えなければ、環境変数の設定ひとつもできないような人もいて、そんな状態を本当に「できる」といえるのか疑問です。

そう考えると、「VC」が「できる」かどうかなんて即答できるはずがありません。
「VC」がMicrosoft Visual C++の意味だとして、純粋なCやC++が使えて、標準化前の古いC++にも対応できて、MFCやATLが20年ぐらい前のものから最新版まで使えて、生のSDKやCOMやDCOMなんかも使えて、Managed C++やらC++/CLIやらC++/CXなんかもすべて使えれて、Visual Studio 2010まで提供されていたマクロ機能なんかも全部使えて、まあ言語としての「VC」が「できる」と安心して答えられます。
デバイスドライバの開発ができたり、DirectXやOpenGLとかが使えたり、SQLができたりというのは、また別の技術と考えてよいでしょうから。

これまた以前にも取り上げた「一人称で仕事ができる?」もこれに通じるところがあります。
要するに「一人称で仕事ができる」とは、具体的にどういう状態なのかの定義がないのです。
定義もないのに、「できる」か「できない」かを問うても何の意味もありません。

もし仮に、まともな定義がないまま、「一人称で仕事ができます!」と相手が主張したとして、それが期待通りの状態だと考えられますか?
「期待通りの状態と考えられる」という人がいたら、ハッキリいって馬鹿だと思います。
あるいは、本人が「一人称で仕事ができます!」と主張していますということを右から左に伝えるだけの無責任な人だと思います。

ソフトウェアの開発でも、同じようなことは実際に起きています。
全然違う概念を指すのに同じ用語を使ってしまったり、逆に同じ概念を指すのに異なる複数の用語を使ってしまったりすることもよくあります。
それ以上に曖昧模糊とした用語を使ってしまうこともあります。

そんな状態だと、お互い相手が何の話をしているのか、よくわからなくなることも少なくありません。
そういうときは、まずは用語の定義を明確にすることから始めます。
円滑なコミュニケーションを行うためには、用語の定義は不可欠なプロセスだと思います。

「コミュニケーション能力」がどうこういう人も多いですが、その場合も「コミュニケーション能力」が何なのかが漠然としています。
会話のキャッチボールができるとかの能力も含まれますが、まずは正しく意思の疎通ができることが大前提です。
(意味が不明瞭などで)相手が取りにくい球を投げるのは、キャッチボールではなく、バレーボールとかの別の流儀です。

曖昧な用語を使って正しい意思の疎通ができないような人が、他人の「コミュニケーション能力」を云々する資格などありませんし、そもそも他人の「コミュニケーション能力」を評価できるはずがありません。

今回はかなり強い表現をしましたが、普段使っている用語の定義は、主なものだけでもいいので、明確にした方がいいと思いますよ。

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