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君のブログに恋をして〜見栄と妄想編

著者:馬詰道代
公開日:2017/10/19
最終更新日:2017/10/19
カテゴリー:フィクション

高校生のときの文理選択。
男は散々悩んだ。
英語は苦手であった。
英語に比べたら、数学はまだマシであった。
国語もどうもパッとしなかった。
どちらかと言えば理系科目と呼ばれる教科の方が幾分マシであった。
男の自尊心をくすぐったのは、”理系に進む人は賢い”という世間の目であった。
世間といっても男のごくごく周りの、それらはクラスメートであったり、家族であったり、その程度の中での見栄であった。

不動産営業に甚だ疲れ果てていた。
賞与査定への不服から、みなし残業以上の残業未払い分、それらを合わせて会社に申し立てをした。
辞める意思表示もした。
男は会社から引き止められると思っていた。
しかし、会社からは部下を育てることもできず、自分の成績も上げられなかったことを散々詰られたのだ。
男はこの会社で初めて部下を持たされていたのであった。
たったひとりの部下であった。
その部下にさえ、信頼されていなかった男である。
部下にさえ信頼されていない男は、半ば脅されるようにして、会社を辞めざる得ない状況に陥った。

この会社で過ごした2年間を経歴書から削除したい思いに駆られる男であった。

男は思い出したのである。
高校生のときの理系選択。
数学が得意だった。
それは国語に比べたら出来るという程度のものなのだが、妄想癖のあった男は得意だと勘違いしてしまうのだ。
今まで在籍した数々の会社では、ExcelやWordを難なくこなせた。
PCスキルは習いに行くことなく、独学で身につけた。
それを自負していた。
弟のひとりがIT業界に身を置いていた。
プログラマーであった。
その業界のことは聞きかじりで知っているつもりであった。
理系人間の自分にピッタリな業界だと、男は酔った。
40歳を目前にして、相変わらず男の頭の中は見栄と妄想であふれていた。
IT業界への転職を決め、ハローワークで次の職場を見つけた。

男の人生を狂わせる序奏の始まりであった。

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