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君のブログに恋をして〜野心の疼き編

著者:馬詰道代
公開日:2017/11/05
最終更新日:2017/11/05
カテゴリー:フィクション

エンジニアが入った先はエンドユーザーから請け負った案件を持ち帰り、自社で開発をおこなっているチームだった。
東の海システム会社と名乗るその会社は受託案件をいくつか抱えていた。
それを取りまとめる営業は受託案件を回すのに手を取られていた。
SESと呼ばれるシステムエンジニアリングサービスまで手が回らないのが現状だった。

男に東の海システム会社を紹介したのは別の会社であった。
つまり、エンジニアは男の会社から間に1社介して東の海システム会社に参画しているのだ。
これが商流というものだ。
ブログの出会いから半年ほど経ったある日、エンジニアは男にひとつの提案をした。
男以上に口が達者でお金にがめついエンジニアだ。

エンジニアは自分の身入りを少しでも増やしたいと思っていた。
エンジニアが提案したのは、業界ではご法度と言われている商流抜かしである。
東の海システム会社の営業マンを紹介し、間に入っている1社を外して直接契約するという提案である。
1社抜く分、エンジニアに入るお金が増える算段となる。

男の会社の取り分は変わらないが、新たな取引先を増やせること、間に入っていた1社の営業マンと決別できることで、男はその案を受け入れた。
その営業マンのエリートぶった標準語が鼻についていたのだ。

ルール違反の商流抜かし、本来なら躊躇することも、エンジニアに勧められると当然のものとして思える。
不思議な力を持っていると、男はますますエンジニアを崇めるのだった。
自分を正当化するために、商流から外した会社と営業マンの悪評を流す男であった。
また、会社への報告もその営業マンの対応の悪さによって、東の海システム会社から直契約の話があったと伝えた。

エンジニアは、その東の海システム会社の営業マンにもある提案をした。
男の押しの強い営業ぶりを賞賛し、彼にSESの営業をさせるという案である。
900円の整髪料ひとつ購入するのにも嫁の顔色を見る男、自分のことを信者のように崇める男、その男に自由になるお金を持たせたかったのだ。

受託案件だけで手がいっぱいの現状を打破するには、SES専任の営業を雇うのが筋であろうが、社員1人雇うより代わりに営業をする人材の提案はありがたい。
東の海システム会社の営業マンは上長と相談した。
このエンジニアの提案を受け入れた。

男もまた、エンジニアからその提案を聞かされた。
土日のバイトは妻も知っている。
バイト代の一部は当然のように抜き取られる。
妻に内緒のお金を持ちたかった男は迷うことなく受け入れた。

男は心の奥が痺れるのを感じた。

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