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君のブログに恋をして〜暗黙の了解編

著者:馬詰道代
公開日:2017/11/10
最終更新日:2017/11/10
カテゴリー:フィクション

エンジニアからの提案は営業支援として、東の海システム会社のSES営業を手伝うというものであった。
契約をひとつ成立させることで、支援料として1万円の報酬をもらうというものである。

自分の会社の営業の片手間に、会社に迷惑をかけることなく、また、会社に不利益を被らせることもない、土日のスーパーマーケットの店先でしているバイトと同じ感覚になった。
男の会社は副業については大らかであった。
就業規則には副業の禁止事項はない。
副業をする場合、本人の常識と良識の上、『会社に届けること』と記載されているだけである。

男は土日のバイトも会社に届けることなく働いていた。
同業での営業支援といっても、名刺を作ってもらうわけでもなく、まして東の海システム会社でメールアドレスを与えられるわけでもない。
遵法意識の低い男にはなんら問題のない行為に思えた。

この会社に転職して1年経った頃には、SES営業としてそこそこの手腕も発揮し、徐々に契約数も増やせるようになっていた。
営業を兼任していた代表は元々エンジニアであった。
営業は男に任せて懇意にしている会社で開発に携わることにした。
日常的に社内を動かすのは男になった。

東の海システム会社に若い女子営業社員が入社したのはその頃だった。
男は彼女を連れて営業に出た。
この業界の特徴である同業他社との協業という視点から、他社の営業を連れて歩くことは特に問題視されることではなかった。

会社の経営にも多少なりと口を出せる立場になった男は、それなりに会社の発展を考えた。
しかしながら、男は経営のことは何も知らなかった。
一端の経営者になったごとくに無謀な社内改革を夢見るのであった。

他社の女子社員と連れ立って営業に出る中で、自社にも営業を増やして拡大すべきだという思いが膨らんできた。
本来であれば、会社の代表に相談すべきことも教祖のように崇めているエンジニアに相談する男だった。

以前勤めていた会社の顧客がちゃんこ鍋屋を開店した。
男はそこのママさんがお気に入りだった。
『おにぎり』というお店の名前に片田舎育ちの男は郷愁を感じた。
そこに足しげく通う男だった。
エンジニアと2人のときは”暗黙の了解”で男が支払った。
その領収書は会社の経理に回した。
以前なら代表にお伺いを立てていた領収書も、その機会がなくなったのをいいことに、自分の裁量で日々の呑み食いの領収書を経理に回す男であった。

見栄っ張りの男は止まるところを見失っていくのであった。

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