大阪市中央区 システムソフトウェア開発会社

営業時間:平日09:15〜18:15
MENU

君のブログに恋をして〜妻の暴君編

著者:馬詰道代
公開日:2017/11/14
最終更新日:2017/11/14
カテゴリー:フィクション

東の海システム会社で得たお金が少しずつたまっていく。
妻に内緒の通帳残高に心が踊った。

その頃には、妻は2人めの出産を終えていた。
女の子だった。
2人めとはいえ、40直前の出産で妻は疲れ果てていた。
妻と自分に似た一重のつぶらな瞳をしている。
お世辞にも可愛いとは言えない。
父親とは不思議なもので、それでも娘は可愛いくて仕方なかった。
自分に似ている箇所を見つけては、自分に似ているから可愛くないんだが、それがより愛おしいさを増していく。

産後の肥立ちの悪さに、妻の凶暴性は以前にも増していった。
俺は一生、コイツの暴言に耐えていかなければならないのか。
声には出していない、 “コイツ”にまた妻の暴言が飛んだ。

反抗的な態度は妻の逆鱗に触れた。
妻の手元から包丁が飛んできた。
わざと外したのか、妻のコントロールのなさなのか、包丁はあさっての方向に落ちた。

俺は生まれて初めて、殺されると震えた。
震えながら怒りがこみ上げてきた。
こみ上げできた怒りのまま、妻を見た。
いや、睨んでしまった。

妻は床に落ちた包丁を拾い、
テーブルに突き立てて言い放った。
「何、にらんでるねん!殺したろか」

俺は目を閉じた。

代表がエンジニアに戻ってから、実質会社を動かしているのは俺だ。
俺が好きにできる会社だ。
あの在日3世のエンジニアをいつか会社に迎え入れ、2人で今より会社を大きくする。
俺は・
俺は・・

妻に虐げられる男は会社に逃げ場を見い出した。

ふと我に返っだ妻は、自分が突き立てた包丁に身震いがした。
会社を転々とし、いく先々で問題を起こす目の前の男が悪いのだ。
私に包丁を投げさせるようなことをする男が悪いのだ。
2人の子どもの親となってもうだつが上がらない男が悪いのだ。

男は妻の暴君ぶりには辟易としていたが、子どもを手離すことは想像できなかった。
自分によく似た息子と娘は、紛れもなく俺の子だ。

妻と揉めると男はちゃんこ鍋屋のおにぎりのママに会いに行った。
例のエンジニアを伴って、いつか実現できるであろう、自分たちの会社の話をした。
エンジニアは男の会社に来ると、我がもののように振る舞っていた。
事務員はエンジニアの横柄な態度、男が信者のように崇める様子を胡散臭く見ていた。
日に日に増える飲み食いの領収書に不信感を募らせていった。

コメントは受け付けていません。

前の記事 :
上に戻る