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君のブログに恋をして〜湖のほとり編

著者:馬詰道代
公開日:2017/11/21
最終更新日:2017/11/21
カテゴリー:フィクション

同業他社の営業が集まる場所がある。
開発案件や技術者の情報をやり取りして成り立つ仕組みのSES営業の営業マンは、一手に数社の営業と知り合える集まりはありがたいものである。
それは揶揄して手代の集いと称されていた。

その集いで、男は自分より3つ4つ年下の営業マンと仲良くなった。
かるてるという小さなソフトハウスの営業マンである。
かるてるの営業マンは人あたりが良く真面目そうに見えたが、営業の成績は低空飛行を続けていた。

(俺の方ができる)
男はそう思いながらも、かるてるの営業マンと仲良くしていた。

かるてるの営業マンもまた、内心では男のことを小馬鹿にしていた。
はるかに自分の方が世間受けがいいのである。
男と並ぶことで自分の人の良さが際立つことを知っていた。

お互いに心の中で蔑みながらも表向きは仲の良さを見せていた。
かるてるの営業マンには双子の娘がいた。
似たような年頃の子どもを持つ父親同士としても、お互いに気が合う素ぶりを演じていた。
この年代の夫婦にありがちな、妻の悪態ぶりに嘆く夫という点も似ていた。

(さすがに妻に包丁を投げつけられたことは言えないな)
男はひとりごちた。
妻を見返してやりたいという思いだけが膨らんでいく。

その年の12月、男たちは行きつけの居酒屋で一年の労をねぎらっていた。
男はなぜか、かるてるの営業マンをあのちゃんこ鍋屋のおにぎりには連れて行かなかった。
いや、一度だけ連れて行った。
そのときも当然のように、会社に領収書を回した。
その一回きりである。

かるてるの営業マンは男よりかは、世間の目を気にするタチである。
この男と必要以上に仲良くするのは危険だと思っていた。
男が会社の経理に回す領収書に、自分の名前を記されるのを極力避けた。
営業マンのその勘は当たっていた。
ただ、その営業マンも男と同類であり、のちに男の暴走に巻き込まれていくことをこのときは気づかずにいた。

2人は少し早い忘年会として、居酒屋で盛り上がった。
お互いに妻への不満を訴えた。
男は若い頃に通ったソープの話をした。
男と営業マンはその飲み会をボロボロ会議と称していた。

東の海システム会社の営業支援という名目の副業で、妻に内緒のお金が貯まっている。
男は妻のこと愚痴ることで、一層、妻への嫌悪感を増幅させていた。
その憂さ晴らしにかるてるの営業マンを湖のほとりのソープに誘った。
アシストネクステージというソープは、男が若い頃通った、街中にある馴染みのソープの姉妹店である。
湖のほとりにあるひっそりとした佇まい、その日常から切り離された感じが男は好きだった。

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