君のブログに恋をして〜信者編

ちゃんこ鍋が美味しい時期になってきた。
相変わらず、男は教祖のように崇めている例のエンジニアと連れ立って、”おにぎり”に通っていた。
エンジニアと関わる仕事を増やしたいという思いで、男はいろいろ画策した。

少し前に、古くから付き合いのある技術者を社員として雇い入れていた。
押しの強さだけで営業をする男は、自分の都合しか考えないのである。
その技術者の本心は今までのように自分のペースで仕事をしたいと思っていた。
半ば男に押し切られるように入社したのである。

技術者社員を増やしたことで、男はますま我が物顔で振る舞うようになってきた。
まるで自分の会社のように振る舞うさまに事務員は危惧した。
例のエンジニアを崇め、まるで信者のような男に辟易した。
自分の会社のように出入りするエンジニアにも嫌悪感を感じていた。

男はエンジニアと組んで仕事がしたかったのだ。
いずれ大きな受託案件を受注し、エンジニアとともに会社を動かすことを考えていた。
それにはエンジニアの入れ知恵もあった。
また、エンジニアに
「営業といえども、プログラミングの知識を身につけた方がいい」
と言われ、その気になるものの、大学受験に失敗した男にはなかなかハードルが高い話であった。

エンジニアとの会話を自慢げに披露される事務員は、男のことを影でエンジニア信者と小馬鹿にするようになった。
人を見る目のない男に呆れ果てていた。

強引に雇い入れた技術者は、男が崇めるエンジニアの支援をすることになった。
社内での作業である。
技術者は電話でエンジニアからの指示を受けた。
電話口のエンジニアの強引さに、技術者もまた嫌悪感を抱いた。
(この男と同じ強引さだ)
技術者はそばにいる男にも嫌気を感じていたのだ。
入社したことを後悔した。

お金のこと、目先にことしか見えない浅はかな男にはその技術者の気持ちを推し量る技量はなかった。
男に振り回されているようにしか見えない技術者を事務員は気の毒に思っていた。

ある日の夕方、エンジニアから電話がかかってきた。
最初に取ったのは事務員である。
相変わらずの強引さが品のなさを増幅させていた。
そそくさと男に電話を繋いだ。
何やら話をしたあと電話を切って男は言った。
今から、隣の開発室で作業をしている技術者をエンジニアのもとに連れて行くと言うのである。
エンジニアのもとで作業をさせると言うのである。