君のブログに恋をして〜男の豪遊編

男は自身が崇めるエンジニアの入れ知恵で無謀な社内改革をおこなっていた。
受託案件の拡充や社員の採用と思いつきのまま会社を翻弄させていた。
事務員は無計画すぎる社内改革や経費の使い方に不安を覚えていた。

男は我がの天下のように営業経費を散財していた。
900円の整髪料ひとつ買うのにも、妻に領収書を提示しなければならない男にとって、自分の裁量で営業経費を使える状況は夢のようだった。
自制がきかなくなっていたのだ。
手代の集いで知り合った営業マンを連れ立って飲み歩くときも、男は大盤振る舞いをした。
見栄っ張りの男は食い道楽を気取っていた。

例のちゃんこ鍋屋のおにぎりには、自分を誇示したい相手を厳選して連れて行った。
それほど、男にとっておにぎりは特別な存在だったのだ。
事務員にとっては吐き気を催すだけのピンクの領収書であったが。

飲み食いの好きな男はここぞとばかりに会社の営業経費で楽しんだ。
男はこの会社に入ってみるみるうちに体重が増えていった。
それは傍目にも明らかだった。
お腹回りの肉つぎはシャツのボタンがはち切れんばかりになっていた。
年一回の健康診断でもメタボ指導が入るほどであった。

包丁を投げつける妻がそれを許すはずはなかった。
「会社の金で飲み食いして、このブタ!」
と罵られた。

男は帰宅後の家事のあと、体重を落とすためのランニングまで義務付けられた。
家事の遂行にもチェックシートがある。
当然、日々のランニングにもチェックシートでの管理を命じられた。
鬼のような妻が待っている家庭にはますます足が向かなくなった。
毎晩のように誰かを連れだって、打ち合わせや情報交換と称して、飲み食いをして帰路に着いた。
1週間、一日も空けることなく、飲み食いの領収書を経理に回してきたのだ。
事務員は、
(あんたの晩ご飯代かい?!)と心の中で呟いた。
その月、男が一人で使った営業経費は20万円を超えた。
それだけ仕事をしているならまだしも、大した売り上げもあげない男に、事務員は苛立った。

男は手代の集いに参加しては、「ひと月、SESで50人近く回している」と豪語していたのだ。
手代の集いでは、男の豪遊ぶりが話題に上がったいた。
男の豪遊に甘い思いをした者は男の肩を持ち、男のホラ吹きを見破る目を持つ者は男に近づかなかった。

かるてるの営業マンは表向きは男と仲良くはしていたが、内心はみくびっていた。
あまり深く関わらないおこうと思っていたのか、男が出す領収書にはかるてるの名前はなかった。
事務員はそれが不思議でならなかった。
が、のちにかるてるの営業マンも男の良からぬ思惑に引きずられ、泥沼から抜けられなくなるのだった。

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