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君のブログに恋をして〜水が合う編

著者:馬詰道代
公開日:2018/01/25
最終更新日:2018/01/25
カテゴリー:フィクション

男はおもしろくなかった。
この会社は、職を転々してきた男がやっと見つけた居場所であった。
男は『この業界は水が合う』とよく言っていた。
事務所内も自分の裁量で動かせるようになってきたのだ。

(それは男の大きな勘違いであったが)

長年、技術社員も雇わず、細々と資本金を虫食いのように食い潰してきた会社に革命を起こしたのは俺だ!
そんな自負を持つ男は、そのために必要な経費にケチをつけられたことが納得できず理不尽な怒りを感じていた。

事務員もまた、男が入社したことで社内が活性化したことについては一定の評価はしていた。
しかし、目先のことしか考えない、私利私欲だけの男の本性が露わになった今、男の評価はもろくも崩れてしまった。
社員に対しての暴言も目に余るものがあった。
自分のストレス解消のためだけに、社員に暴言を吐いているようにさえ思えた。

自分が蒔いた種で日々居心地が悪くなった職場。
男は思案した。
この業界の営業特有の同業他社への転職が頭に浮かんだ。
同業他社の繋がりで仕事が成り立っている業界である。
そんな相談をできるのは、かるてるのボンクラ営業マンのあの男だけだ。
かるてるで採用担当もしているアイツに打診してみよう。

この業界の営業マンが定期的に集まる、手代の集いの中で、かるてるのボンクラ営業マンと男は随分親しい仲に見られていた。
実際、中高生の連絡手段であるLINEで中高生並みのやり取りを交わしている2人であった。
かるてるのボンクラ営業マンは、他の営業マンたちの中では”営業のできない営業マン”と噂されていた。
当然、男もそれは耳にしていた。
また、男自身も口では褒めながらも内心は自分の方が営業ができると自負していたのだ。

かるてるのボンクラ営業マンは自分の営業の出来なさぶりを自覚していた。
採用活動に力をいれ技術社員を雇う、その技術社員の営業をすることで社内での立場を保持していたのだ。
三流とはいえ大卒という自負もあった。
二浪しても大学生になれなかった男にはどう転んでも太刀打ちできない事実だった。
レベルの低いところで、それぞれの心の奥底では、俺の方が上だ、と牽制しあう2人だった。

男はかるてるの小さな事務所の椅子に座っていた。
小さな雑居ビルの4階。
周りは飲み屋や風俗店が並ぶ、男が遊ぶにはもってこいの立地である。
見栄張りの男にはそれが気に障った。
自分の会社はオフィス街にある。
同業の営業マンが立ち寄っても格好がつく場所である。
かるてるのこの小さな事務所、男は小さく身震いをした。

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