君のブログに恋をして〜身から出た錆編

男はますます居心地の悪さを感じていた。
若手社員の上司という立場も外されてしまった。
部下のいない責任者である。
男は会議の席でその話が出たときには、うなずいていた。
男は自分の都合の良いようにしかモノゴトを捉えられない思考の持ち主である。
自分の立場を認識できずにいた。
結局、その件で、男は事務員に逆ギレするという醜態を晒した。

「部下のいない責任者なんて、責任者やないでしょ」
「会社をやめます!」
「個人事業主になったほうがマシ!」
と喚く男だった。

事務員は呆れ果てるばかりだった。
会議での話を認識していない男のバカさ加減に辟易とした。
すべては男の”身から出た錆”である。
そんなこともわかっていない男である。
事務員に逆ギレしたところで、事務員にはなんの権限もなく、自分の気持ちのはけ口を向けただけである。
器の小ささを露呈しただけに終わったのだ。
この件をキッカケに男はかるてるへのアプローチを本格化させていった。

一旦は保留となったかるてるへの転職である。
まずは自分を雇うことで、かるてるへ利益をもたらすことを示そうと考えた。
東の海システム会社での副業は、表向きは対会社としてのものである。
ビジネスパートナーの営業担当として動いていることにして、その実、会社には知らせず、得たお金は自分の懐にしまっている。
男は会社貸与のノートパソコンの中に、東の海システム会社と会社がビジネスパートナーとして協業する企画書を作っていた。
パワーポイントで作った資料である。
男は、パワーポイントで作った資料でプレゼンテーションをすることに憧れを抱いていた。
見栄っ張りの男の浅はかさである。
東の海システム会社のSES営業をして得た、会社には内緒のお金。
その振込指示も会社貸与のノートパソコンを使ってメールを送っていた。
会社貸与のノートパソコンを我が物のように使う浅はかな男である。

男はかるてるのボンクラ営業マンにひとつの提案をした。
東の海システム会社と同じようにかるてるのSES営業の支援をするという提案である。
気が小さいかるてるのボンクラ営業マンは躊躇した。
自分の営業の出来なさぶりを自覚しているかるてるのボンクラ営業マンである。
この男によって会社での自分の居場所がなくなることを心配した。
そんなかるてるのボンクラ営業マンの心配をよそに、男は手代の集いで知り合ったオーソリティを巻き込んでいった。