君のブログに恋をして〜 動きだした船編

男はかるてるのボンクラ営業マンに自分の名刺を作らせた。
かるてるのボンクラ営業マンは、今までと同じように名刺屋さんアプリで印刷したシートを1枚ずつ手でちぎって、男の名刺を作った。
ボンクラ営業マンはなぜか無性にイライラした。

男は会社用とは別にかるてる用のGoogleアカウントも作った。
かるてるの仕事はそのかるてる用のGoogleアカウントのカレンダーに記載することにした。
男の会社でもGoogleカレンダーで営業のスケジュールを共有している。
物事の切り替えに上手く反応できない男は、かるてるの営業を会社のカレンダーに間違えて記載したりするのである。
辻褄の合わない営業をしている。
事務員はそのことに違和感を感じるようになっていた。

2つめの契約は手代の集いのオーソリティの協力を得た。
そのオーソリティはお金好きである。
善悪の判断よりお金を選ぶタイプである。
かるてるのボンクラ営業マンは動き出した船から飛び降りたくなる気持ちを抑えて、また、男の名刺をセッセと手でちぎっていた。
手代の集いのオーソリティが男に協力すらなら、仕方ないと思いながらも、自分がやっていることが決して褒められることではないことを認識していた。
気の小さいボンクラ営業マンはこの船から降りた方がいいのでは、と心が揺らぎ始めていた。

迷いながらも男によって会社の売り上げが上がることで、会社と男との間を取り持つボンクラ営業である。
かるてるは技術者として日中は得意先のプロジェクトに参画している代表と代表の古くからの知り合いである取締役。
この取締役が会社のお金を管理している。
また、名ばかりの経営陣として代表の妻と嫁いだ娘が取締役という、家内工業的な会社である。
ボンクラ営業マンはお金以外の社内業務も担っていた。
自分の営業力の無さを庇える仕事がある、かるてるは居心地は良かった。
お金を管理している取締役は、常時会社に姿を見せるわけでもない。
名前だけの代表の妻と娘とは面識すらない。
ゆるい営業でもコトが足りるのである。

男からの最初の交渉を断ったのもボンクラ営業マンの独断である。
男の押しの強さだけの荒い営業をするという評判も、ボンクラ営業マンは知っていた。
その押しの強さに自分も流されていることに気づきながらも、どうすることもできなかった。
自分より会社の売り上げに貢献する男のことを、本心とは裏腹に代表に上手く 取り持つ役を演じてしまうのだった。

YouTube版”君のブログに恋をして”もお楽しみください)