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無期転換ルールについての取り組み

著者:高木信尚
公開日:2018/04/01
最終更新日:2018/06/21
カテゴリー:雑記

高木です。おはようございます。

民主党政権下で可決された改正労働契約法は平成25年4月1日に施行されました。
それから5年が経過した本日から、有期雇用を5年以上繰り返し更新した場合、労働者の希望があれば無期転換しなければならなくなります。
いわゆる無期転換ルールあるいは無期転換制度というものです。

弊社の有期雇用は大きく分けて2種類あります。
ひとつは契約社員で、一時的に人員を確保するための雇用形態で、ある程度の更新はあるものの短期間の雇用を前提としています。
もうひとつは準社員で、こちらは原則として更新しませんが、雇用期間満了にあたり、本人が希望し、かつ会社が許可すれば正社員に転換することになります。
本人が希望しない、あるいは会社が許可しなければ、そこで契約終了(=退職)になります。
かつては準社員のことも「契約社員」と呼んでいましたが、紛らわしいので名称を分けることにしました。

先日からハローワークに求人を出している事務職は短時間準社員です。
短時間準社員は、就業時間が短いだけでそれ以外は準社員と同じです。
雇用期間満了にあたり、(本人の希望&会社の許可があれば)短時間正社員への転換が可能になります。

現在、弊社には準社員3名、契約社員1名が在籍しています。
準社員のうち1名は今月末で雇用期間満了になりますが、順当にいけば正社員に転換することになるでしょう。
それ以外は今年になってからの入社ですので、5年とかいうのはまだまだ先のことです。

世間的には、契約社員というのにはどうも2種類あるようです。
ひとつは、本来の意味での契約社員で、弊社の契約社員はこちらに該当します。
もうひとつは、本人は本当は正社員として働きたいのに正社員として雇ってもらうことができず、差別的待遇を受けている非正規労働者です。

おそらく無期雇用ルールは後者を想定しているように思います。
しかし、このルールは当然前者にも適用されてしまいます。
はっきりいって非常に迷惑な制度であるといえます。

前者の契約社員(弊社の契約社員もこれです)は、無期雇用にともなうコストや責任を負わない代わりに高い賃金で雇用するのが普通です。
労働者自身も納得しいますし、むしろその待遇を希望しています。
そこに無理やり無期転換ルールを当てはめるのであれば、待遇を下げるか、5年になる前に更新を止めるしかありません。

弊社の契約社員も、そのような理由から5年になる前に更新を止めることになると思います。
それを雇い止めというならその通りですが、もともと一時的で短期間の雇用を前提としているわけですから、5年以上も更新することなどないのです。
おそらくは5年になる直前ではなく、もっと前に更新をストップすることになると思います。

内情を暴露しておくと、多くの場合、弊社では契約社員として雇用する労働者に対して、準社員の選択肢も与えています(常に選択肢を与えるわけではありません)。
その上で、労働者本人の希望によって契約社員にしているのです。
形だけの選択肢ではなく、本当にどちらでも選択可能な状態で選ばせています。

そういう事情ですので、労働者本人にとって不本意な形で非正規雇用になったというのとは、まったく異なるのです。
契約社員は短期雇用が前提ですから、長期雇用が前提となるような投資も行いませんし、長期雇用が必要になるような重要な仕事もまかせません。
契約社員が役職につくことはありませんし、当然ですが役職手当が支払われることもありません。

また、入社時に準社員の選択肢を捨てて契約社員になった以上、労働者が翻意したとしても無条件で準社員に転換することもありません。
その場合は、再度選考からやり直しになります。

それが差別待遇だというのであればその通りです。
しかし、決して不当な差別ではなく、正当な差別です。

こういった事情ですので、無期転換ルールに対して、今のところ弊社は具体的な取り組みを行っていません。
将来的には、契約社員から正社員または無期雇用労働者への転換ルールを整備しないといけないのかもしれませんが、本日以降の具体的な運用事例を観察してからのことになると思います。
そして、今から3年後ぐらいを目途にルールを構築できればいいのではないでしょうか。

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