君のブログに恋をして〜 狸の騙し合い編

ある日、男の会社の若手社員はアトムソリューションの営業マンに相談があると呼びつけられた。
アトムソリューションの小さな事務所。
小さなテーブルと椅子の応接セットは、目の前のアトムソリューションの営業マンと膝を突き合わすほど小さかった。
その息がつまるような事務所で、自分の会社の社員、それも少し前までは上司という立場だった男に対する愚痴を聞かされたのだ。
若手社員はびっくりした。
実際に起きた出来事について、自分の都合よく発言を二転三転する男のいい加減さを切々と訴えられたのだ。
他社の営業マンの愚痴ならまだしも、自分が所属する、それも自分よりアトムソリューションとは付き合いの長い同じ会社の人間のことである。
「私が今、君に話したことはくれぐれもあの男には内密にしておいてほしい」
わざわざ呼びつけられて聞かされた愚痴に、若手社員はアトムソリューションの営業マンの真意をはかることはできなかった。
若手社員はアトムソリューションの営業マンに対してはそんなに悪い印象を持ってはいなかった。
また、アトムソリューションの営業マンの話も、あの男ならさもありなんである。
アトムソリューションの営業マンに共感こそして、あの男を庇う材料を何一つ持ち合わせていない若手社員であった。
ただ、心の中で共感はするものの表面上はただ真摯にその愚痴を聞くにとどめておいた。
アトムソリューションの営業マンの口車に乗るわけにはいかなかった。
その後、事あるごとに若手社員はアトムソリューションの営業マンに呼びつけられ、男の愚痴を聞かされるようになっていった。
アトムソリューションの案件にはパートナーの技術者を数名参画させている。
そのうち、1名は若手社員の担当である。
若手社員がアトムソリューションを頻繁に訪問してもなんら不思議ではない。
回を重ねるたびにアトムソリューションの営業マンの愚痴は男の悪口へと度を越えていくのであった。
アトムソリューションの営業マンは、男の会社の若手社員に男の愚痴を吹き込みながらも、その一方で男が連れてくる技術者を自分が扱う案件に参画させるのである。
若手社員には、
「あの男のことは信用できない」
と愚痴りながら、男と付き合うのである。
アトムソリューションの営業マンも男と同じように、自分が儲けることだけを考えるタイプなのだ。
そんなことを知らない若手社員は、アトムソリューションの営業マンから聞いた話を持て余し、思い悩むのであった。
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