良いデザインと悪いデザイン16:猫でもできるグラフィックデザイン19

今回の心地よいデザインのキーワードは「透過」です。背景が透けてみえる透過は、デザインのテイストを決めるくらいの力がありますが、ガラスのように存在感を抑えて他の要素を引き立てることもできます。デザインにおける透過について考えました。

透過について考える前に、身の回りにある「透けるもの」をいろいろ挙げてみましょう。ガラス、寒天、ゼリー、水、空気、セロハン、プラスチック、クラゲなどなど。色の有無や、どれだけ透過するかはそれぞれ異なりますが、透けているものは沢山存在します。挙げた例からも判断いただけると思いますが、網戸やレースカーテンのように完全に不透明な部分が多いものや、障子紙のように明るさはわかるけれど向こうの様子がみえないものについては今回は考慮しません。

おそらく昔の人は、水を見て「透明」や「透過」の概念を発見したのではないでしょうか。当たり前のように存在していた水が、「向こう側が見える」という特殊な性質を持っていることに気がついた人がいるのは驚きです。さらに、水と同じように透明でありながら、水よりも手応えや感触が少ない「空気」の存在に気がついた人もすごいですね。

このような経緯もあってか、透明や透過のデザインには水と同じようなイメージがついて回ります。純粋、フレッシュ、自由、透明感などです。また、プラスチックやガラスにように、人工的な素材で透明なものはレトロ・フューチャーなイメージがありますので、これを受けて先進性や未来、都会的なイメージもあります。

「カレーが美味しいのはカレーだからです」というのと同じくらい下手くそな説明ですが、透過するデザイン要素の一番のメリットは透過することです。背後にある要素が判別できるので、重ねても背景の情報量がほとんど減りません。これをうまく使って、強調に使うことができます。ちょうど、ノートにセロハンを被せたような、あるいは蛍光マーカーで線を引いたようなイメージです。

透過することをうまく利用すると、重なり順で奥の要素ではなく手前の要素を強調することも可能です。たとえば、雪景色の背景に白い文字を乗せたい場合を考えてください。おそらく、文字はかろうじて読める程度で、けっして読みやすいとはいえないでしょう。こんな時は、「半透明の黒を文字と背景との間にはさむ」と、雪景色を見せながら、文字の可読性を高めることができます。もちろん、文字に影をつけたり枠線をつけるなど、他にも方法はありますので、テクニックのひとつとして覚えておいてください。

透過要素はその透明度や色によって、デザインに与える影響や意味合いを変えることができます。さらに、占める面積や使用頻度によってもデザインテイストが大きく変わります。

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