君のブログに恋をして〜60進法と10進法がわからない編

トモゾー方舟会社から技術者の勤怠表が届いた。
それを見たボンクラ営業マンは頭を傾げるのだった。
男がかるてるの営業を始めた月の終わりのことである。

「168.25hってどういうこと?」
男とのLINEで、ボンクラ営業マンは尋ねた。

今まで、請求書は口うるさい取締役がやっていた。
技術者から預かった勤怠表を取締役に渡すだけである。
かるてるの営業として男が成約した案件について、かるてるの利益になるのは2万円にも満たない。
あくまで営業支援料という名目である。
口座を貸しているだけである。
取締役はイライラしながらボンクラ営業マンと男にその月の請求書の発行をさせるのだった。

理系脳を気取っている男は大学を出ていると言っても文系、それも三流大学出のボンクラ営業マンのことを、内心小馬鹿にしていた。
60進法と10進法もわからないのか?
これが会社内でのことならパワハラまがいの言葉を浴びせたであろう男だが、今、ボンクラ営業マンの機嫌を損ねるわけにはいかない。

「168時間15分のことですよ」と優しく伝えた。

60進法と10進法の違いがわかったような、わからないような、ボンクラ営業マンは、その話を早々に終えるのだった。

数字に弱いボンクラ営業マンと事務能力がない男はその月の請求書処理に手こずっていた。
何かにつけて詰めが甘い2人に、取締役はキレた。

「契約を取るだけが仕事ではない。請求書の発行もまともに終えることもできないのか!」

以前からソリの合わない取締役である。
ボンクラ営業マンは、男とのLINEで愚痴を吐いた。
「何かとうるさい。面倒くさいオヤジ!」

ボンクラ営業マンはかるてるに入社した当時は試用期間として10万円しか支給されていなかった。
このオヤジの考えである。
ボンクラ営業マンは普段は現場に出ている代表に交渉して、3ヶ月めに40万円に上がてもらったのだ。
就業規則も賃金規定もない。
経営陣の気持ちひとつで待遇が変わる、いかにも”かるてる商店”である。
自分の仕事ぶりと40万円もの給与、釣り合いが取れていないことをボンクラ営業マンは自覚していた。

男はかるてるに入社するためには、この取締役の機嫌も損ねるわけにはいかない。
今は素直に従っておくのが賢明だと我慢した。
今は売上の数字を見せることが大事なのだ。
男は自身が崇めるエンジニアのアドバイスを胸に、自分を雇うことで利益をもたらすこと。
目に見える数字で提示しなければと、画策する手を緩めなかった。

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