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君のブログに恋をして〜俺は勝ち組編

著者:馬詰道代
公開日:2018/04/19
最終更新日:2018/04/19
カテゴリー:フィクション 雑記

ある夜、男は会社の若手社員にメールをした。
以前、貸していた本が必要になったのだ。
SES営業マンが書いたビジネス書である。
男はこのIT業界、SES営業マンの世界に飛び込んだとき、偶然見つけた一冊に共感したのだった。

男がまだ、若手社員の上司という立場だったときのことである。
「営業の勉強になるから」と、手渡された、その本を若手社員は返し忘れていた。
休みの日の夜、急を要するかのようにメールをよこしてきた男に違和感を感じた。

このIT業界のSES営業は他業種の営業では考えられない、同業他社の営業と仲良くなることで成り立つのである。
他業種の営業から来た人の中には、そこに違和感を感じて馴染めない人もいる。
しかし、一度、足を踏み入れるとそこからなかなか抜けきれない、そんな魔力があった。
商流の波をうまく乗り切ったものが、より上の立場でより利益を得ることができる。
元請やメーカー直で口座を持っているか、自社に優秀な社員を抱えているか、優秀な社員を抱えているパートナー会社と付き合いがあるか。
不動産業界からこの業界の営業マンになった男はSES営業のその魔力に足をすくわれていた。

居心地が悪くなった会社に背くように、かるてるの営業を始めた男は、すっかり調子に乗っていた。
男は営業責任者としての職務手当が付与された、男の営業ぶりには見合わない、今までにない額の給与を支給されていた。
男の豪遊ぶりからも、手代の集いのメンバーたちは、男の待遇の良さをはかっていた。
一方で男は営業支援料としてかるてるから、最初の月に16万円、翌月には20万円と別口で手に入れていた。

この会社に入って2年足らずで、手に入る給与が劇的に増えた。
加えて、かるてるからの営業支援料。
他社の営業マンでひと月にこれだけの金額を手に入れているのは、一握りである。
男はその一握りの中に入っている自分に酔った。

「俺は勝ち組」

と男は自尊心を自らくすぐるのだ。

男の人生で最高潮のときであった。
男がSES営業で50人の技術者を回しているとホラを吹いても、その豪遊ぶりが真実味を加えていた。

他社の若い営業マンに「営業とは」と講釈を垂れるのが男のくせである。
男の本質を見抜けない他社の営業マンは、男を慕うものもいた。
他社の若い女子社員から営業の相談を受けたりしていた。

男は他社の若い女子社員の営業を相手にSES営業の勉強会開催を企んだ。
自分の好みの他社の20代の女子社員に声をかけた。
その資料作りに、以前、会社の若手社員に貸した本が必要だった。

*この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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