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君のブログに恋をして〜2人だけの世界編

著者:馬詰道代
公開日:2018/04/20
最終更新日:2018/04/20
カテゴリー:フィクション

男は誰もいなくなった会社に残っていた。
その勉強会用の資料作りである。
TVドラマで見るプレゼンテーションのシーンを思い浮かべながら、パワーポイントを使って作った。
SESの営業を3カ月もすればわかるようなことを殊更に強調した内容である。
商流に見立てたピラミッドの図は、ネットで拾ってきた。
そのピラミッドの上に近づくことで”勝ち組”になれると締めくくった。

一歩間違えると包丁を飛ばされる鬼のような妻には、
「会社に資料作りを命じられて遅くなった」
とLINEでメッセージを入れた。
20時50分を指す時計の画像を証拠写真として送ることは忘れなかった。
転々としてきた会社で営業経費をちょろまかしては私欲を満たしていた男は、妻からの信頼をすっかり失っていた。

勉強会の開催場所はかるてるの事務所である。
他社の若手女子社員を相手に勉強会を開くことは会社には内緒である。
費用を徴収することなく、パワーポイントで作ったカラーの資料も用意した。
資料は会社のコピー機で印刷したのだが。

「俺は何ていい奴なんだ」

男はひとりごちた。

かるてるの営業マンはすっかり男のペースに飲まれてしまっていた。

ボンクラ営業マンと男のLINEのトーク画面は高校生の男の子が交わすような会話で溢れている。
その勉強会に参加する他社の女子社員についても、どちらが好みだとか、そんな話で盛り上がった。

ボンクラ営業マンは、営業同士が集まる
交流会のときのことを愚痴った。

「もう1人の子、この前の交流会で会ったとき俺に挨拶をしにこなかった」
「あの子は営業としてはイマイチですよね」
「勉強会で面識があるんだから、普通は挨拶にくるでしょ!」
「挨拶もろくにできないのは営業以前の話」
「社会人としてどうかという話ですよね」

2人のLINE上でのトーク画面は、勉強会に参加した女子社員以外にも共通で知っている他社の女子社員の値踏みや、他社の営業マンをあげつらう話で溢れていた。
質の低い話題の合間に、案件情報や技術者情報のやり取りもした。
男がかるてるの営業をするための情報交換である。
2人しか知らないLINE上でのトーク画面は誰に知られることはないと思うのか、世間では人の良さで売っているボンクラ営業マンは本性を隠さなかった。

*この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

君のブログに恋をして〜プロローグ編からお読みください。

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