C言語でプログラミングを行うには「コンパイラ」が必要になります。「コンパイラ」は、単なるテキストファイルに過ぎないソースファイルを、コンピュータが理解できる機械語に翻訳するためのプログラムです。

コンパイラにはいろいろな種類のものがあります。また、作ったプログラムを動かす環境ごとに異なるコンパイラを使う必要があります。具体的には、WindowsならWindows用のコンパイラを、LinuxならLinux用のコンパイラを、MacならMac用のコンパイラを使う必要があります。PCではなくマイコンのプログラムを作るのであれば、マイコンの種類ごとに異なるコンパイラを使い分けなければなりません。

C言語を使いこなす上で、おそらく一番難しいのが環境ごとに異なるコンパイラに対応することです。Windowsを対象に書いたコードを単にコンパイルしなおすだけではR8Cマイコンでは動かないことが多いのです。ただ、この連載はあくまでも入門記事ですので、対象とする環境やコンパイラを固定することで話を簡単にすることにします。

この連載記事で対象とする環境はWindows 7以降で、32ビットのプログラムを作ることにします。もし読者のPCが64ビットのWindowsだったとしても心配ありません。32ビット用に作ったプログラムは64ビットの環境でも動作します。もし読者が使っている環境がWindows以外だった場合、たとえばMacの場合などがそうですが、記事の中の記述があてはまらないケースが出てきます。その場合は自分の環境にあわせて読み替えてください。そして、どうしてもわからない場合は、お問い合わせいただければ、可能な限りお答えしたいと考えています。

使用するコンパイラはGCCというのものです。GCCというのは the GNU Compiler Collection のことで、いくつかのプログラミング言語のコンパイラを集めた開発ツールです。もともとGCCは GNU C Compiler の意味で、その名の通りC言語のコンパイラだったのですが、拡張を繰り返すうちにC++, Objective-C, Fortran, Ada, Goなどをサポートするようになっていきました。その結果、the GNU Compiler Collection ということになったのです。

Windows向けのGCCは大きく分けて2種類あります。ひとつはCygwinであり、もうひとつはMinGWです。これらについての詳しい説明は割愛しますので、興味のある読者は自分で調べてみてください。この連載記事で使用するのは後者のMinGWです。より正確にいうと、本家のMinGWから派生したMinGW-w64を使うことにします。また、MinGW-w64のGCCそのままでは、多数のオプションを毎回指定しないといけないなど、本質ではない部分で手間がかかります。そうした手間を省けるように、ちょっとした仕掛けを加えた関連ツールをいっしょにしたものを下記からダウンロードできるようにしました。

本連載で使用するコンパイラのダウンロード

使い方は簡単です。ダウンロードした「21c-20170723.zip」という圧縮ファイルを任意の場所に展開してください。すると「21c」というフォルダができるはずです。その「21c」フォルダ内に「21c.bat」というバッチファイルがあります。拡張子を非表示にしている場合は単に「21c」というファイル名になっているかもしれません。そのバッチファイルをダブルクリックすれば、コマンドプロンプトが開きます。筆者の環境では下図のようになります。

 筆者は作業用に「W:」ドライブを用意していますので、そこに「21c」を展開しました。「21c」を展開した場所によって表示は変わりますので、適宜読み替えてください。試しに、このコマンドプロンプトに「gcc -v」と入力してEnterを押してみてください。GCCのバージョン情報が表示されるはずです。今回使うGCCのバージョンは7.1.0です。 読者の中には、コマンドプロンプトは使ったことがないという方も少なくないと思います。本連載では、主にコンパイラを実行するためだけに使いますので、難しいことはやりません。どうかご安心ください。

これでコンパイラが使えるようになりました。GCCをそのまま使ってもかまわないのですが、日本語を使えるようにするなど、ちょっと凝ったことをするにはオプションをたくさん指定しなければなりません。結構面倒なので、よく使うオプションを省略できるように、「cc.bat」というバッチファイルを用意しておきました。「gcc」の代わりに「cc」を使うことで、主だったオプションが自動的に指定されます。この連載記事では、以降、とくに支持しない限り「cc.bat」を使っていくことにします。

コンパイラ以外に、実際にソースコードを書くためのテキストエディタが必要になります。ワープロではなくテキストエディタです。メモ帳でもかまわないのが、もっと使いやすいテキストエディタが多数出回っています。すでに使い慣れたテキストエディタがあるならそれを使ってください。Windowsで使える軽量のテキストエディタで、かつ初心者がとっつきやすいものとして、TeraPadサクラエディタがあります。それらでもいいですし、別のものでもいいので、手になじむテキストエディタを探してみてください。

ここまでで、C言語でプログラミングを行うための道具はそろいました。次回からは、本格的にプログラミングを始めていくことにします。

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