省略される文章:猫でもできるWebライティング22
文章を書く上で、紙面と画面(Webサイト)との大きな違いのひとつが文章の量に制限があることです。紙面では決まった文字数に収めなくてはいけませんが、画面にはその制限がありません。とはいえ、紙面/画面問わず、長すぎる文章はユーザーに好まれません。
それを逆手に取ったサービスがTwitterです。投稿できる文字数を制限することで、情報を発信する人の負担を減らすとともに、情報を取得する人が単位時間あたりに消費できる情報の数を増やすことに成功しました。
以前のコラムでは、長い文章に興味を持ってもらうために、見出しや要約(抜粋)を工夫すべきだということを書きました。いずれも、文章の内容を端的にまとめて、ユーザーにアピールする役割を持っています。しかし、ブログサービスやCMSによっては、タイトルと本文しか入力できないものもあるでしょう。
このようなシステムでは、本文から抜粋をつくる機能が実装されていることが多いです。コンピューターが文章の内容を理解して、魅力的な抜粋を作ってくれることはまだ難しいので、大抵は冒頭の何文字かを抜粋として取り扱います。例えばWordPressでは、110文字を抜粋として表示するようです。余談になりますが、WordPressの抜粋は英単語で55文字を抽出しているところを、2バイト文字なので倍にして110文字、としているだけなので、その文字数に特に意味はありません。
引き続きWordPressを例に考えてみましょう。抜粋として用いられる110文字にどんな文章を書くかが、その文章を読んでもらえるかどうかに影響します。文章の導入部分は描く人の個性が出やすいところなので、できれば自由に書きたいところですが、読まれるためにはそこを調整する必要がありそうです。
Facebookの投稿も一定の文字数以上になると省略されます。Facebookはもう少し複雑な条件で省略を実装しており、PCでの表示とモバイルでの表示とでは抜粋として扱う文字数や行数が異なります。
このように、自動で抜粋される可能性のある文章では、省略されるない文字数をしっかり把握して文章を書く必要があります。SNSやブログなど複数箇所で使う可能性がある汎用的な文章にするのであれば、抜粋して表示された時の文字数が最も少ないものに合わせて文章を考えるべきです。
一方で、WebデザイナーがCMSなどの設計をする際は、抜粋や小見出しなどを積極的に使うべきですが、運用側の体制によってはタイトルと本文以外を入力する手間をかけられない場合もあるでしょう。こんな場合はせめて、文章の冒頭に重要なポイントを書くように指導するべきです。