続・外国人にとって難しい日本語の発音

高木です。おはようございます。

1日遅れになりましたが、前回の続きを書くことにします。

前回は、日本語ではモーラ(拍)が大事だということを書きました。
さらに、日本語の母音についても考えてみました。
前回が母音でしたので、今回は子音の話をしたいと思います。

念のために再度確認しておきますが、あくまでも日本語の発音についての話であって、日本語の文法や文字体系、語彙や表現についての話はしませんのでご了承ください。

モーラに関しては楽譜通り歌えば問題ないと書きました。
しかし、楽譜通りに歌うことがそもそも難しいということもあるでしょう。
たとえば、有名な「荒城の月」の出だし「春高楼の花の宴」のところで、「はなのえん」の最後の「ん」を伸ばすというのが外国人にはかなり難しいようです。

日本語では、撥音すなわち「ん」も1モーラですので、そういうことが起こるのです。
ちなみに、先ほどの「荒城の月」を外国人が歌う場合は「はなのえーん」とすることがあるとか。

撥音の話が出ましたので、これをもう少し深掘りしてみることにしましょう。

日本語の撥音は、音素としては/N/という発音記号を使用します。
しかし、実際の音は状況によってかなり変わってきます。

/t/や/d/や/n/の前では、撥音は/n/として発音されます。
/p/や/b/や/m/の前では/m/として発音されます。
/k/や/g/や/ŋ/の前では/ŋ/として発音されます。

さらに、母音や/y/の前では、直前の母音が鼻母音になります。
/ã/のように、母音の発音記号の上にチルダを付けて鼻母音であることを表します。
鼻母音やフランス語やポルトガル語にもありますね。

この鼻母音というか母音の前の撥音は日本人でも発音しにくいと思います。
撥音というのはもともと日本語にはなかった音で、漢語とともに導入された経緯があります。
最初のころは、漢語で/n/のものが撥音となり、/ŋ/の場合は/u/になっていたようです。
「おう」と発音する漢語の多くは本来/oŋ/だったりするわけです。

昔は/n/のあとに母音が続く場合、連声(れんじょう)が起きていました。
仏教用語なんかでは今でも連声がよく見られます。
例えば、「観音(かんん)」とか「眼耳鼻舌身意(げんにびぜつしん)」とかがそうです。

ほかには、漢語とそうでない語の間でも昔は連声が起きていたようです。
たとえば、「念仏を」が「ねんぶっと」と発音していたというのは有名な話です。

フランス語にもアンシェヌマンというのがありますが、あれも連声の一種です。
そういえば、フランス語にはアンシェヌマンに似たリエゾンというのがありますが、連声はリエゾンの音訳のようにも思えますが、実際はうなんでしょうかねえ?
ちなみに、英語にもリエゾンはあって、フランス語のアンシェヌマンに相当します。

連声するのであれば発音は比較的楽です。
しかし、現在の日本語では連声せずに強引に切って発音します。
これが日本語の発音の難度を高くしているように思います。

母国語にない音の発音が難しいのは誰にとってもその通りで、日本語にはほかの言語ではあまり見かけない音韻があります。
「ふ」の子音がそうです。
「ふ」の子音は/h/ではなく/ɸ/という発音記号で表します。

「ふ」をローマ字表記すると「fu」になるので、ついつい/f/で発音してしまう外国人も多いようです。
しかし、/ɸ/は無声両唇摩擦音であるのに対して、/f/は無声唇歯摩擦音です。
両者は明らかに違う音で、これを混同してしまうと会話は通じますが違和感につながります。

「ひ」の子音も/h/ではありません。
こちらは/ç/になります。
これはドイツ語の単数一人称代名詞であるichの末尾子音と同じ音です。
これも/h/で発音しても通じますが、やはり違和感の原因となることでしょう。

まだまだあるのですが、ちょっと長くなり過ぎました。
難しい話を延々と続けると嫌がられますので、また別の機会があれば、そのときに書きたいと思います。