デザイン:猫でもできるグラフィックデザイン01

2010年代に入ってから、「プレゼンで魅力的なデザイン」や「ビジネス文書のデザイン」といった、ビジネスマンのためのデザインを取り上げた本がたくさん発売されるようになりました。いずれもよく売れているようで、刷を重ねるだけでなく、時間を開けずに改定版が出版されるなど、高い評価を受けています。

これらの本ではプロのデザイナーがデザインする上で気をつけていることをわかりやすく解説しています。ひととおりページを繰るだけでも、その後に行うデザインには劇的な変化があるはずです。また、素人のデザインをプロがちょっと手を入れるだけでも、まったく問題のないデザインに仕上がることも多いです。これから分かるように、デザインのプロと素人の差はわずかなものなのです。また、これをなんとなくできてしまう人もいれば、説明されてもピンとこない人もいます。

デザインはデザイナーだけのものではなくなっています。この傾向は狭義のデザイン、つまりグラフィックデザインでもそうですが、広義のデザイン、つまりビジネスのように広い視野が必要なものの設計などにおいても顕著になっています。日本語において、デザインという言葉にグラフィックデザイン以上のものが含まれるという認識が広がったのも2000年代以降ではないでしょうか。

いわゆる「デザイン思考」と呼ばれる、デザイナー特有の考え方や認知方法が研究され始めたのが1960年代から1970年代にかけてです。1980年代から1990年代にはデザイン思考という考え方が確立され、それを問題解決に役立てるコンサルタントや会社が登場しました。企業でも自治体でも、あるいは個人の生き方でさえも、「イノベーション」の必要性が高まった2000年代以降は、デザイン思考がより一般的になりました。

デザインがまったくわからない、興味がないのはビジネスパーソンとして武器が少ない状態と同義です。デザインする力はセンスの有無だけで片付けて良いものではなく、学習や経験である程度は向上させることができるものです。今後は英語が苦手だ、プログラミングが全くわからない、と言っていられないのと同様に、デザインの能力ももとめられる世の中になりそうです。

以降のコラムでは、グラフィックデザインのルールや手法を通して、「何故そのデザインなのか」を常に考える練習を重ねることで、グラフィックデザインの基本とデザイン思考の考え方を説明できればと思います。