良いデザインと悪いデザイン14:猫でもできるグラフィックデザイン17

前回に引き続き、「余白」について考えます。余白は情報のまとまりを作る以外にも、メリハリや心地よさに影響を与えます。余白の役割と重要性について考えます。
コントラストについてのコラムでも、余白について取り上げました。余白があると、デザインにメリハリが生まれます。余白の多い場所に置いた要素は注目を集めやすく、反対に余白が少ない場所に置いた要素は目立ちません。単純なルールではあるのですが、デザイン制作の経験が浅いと余白がもったいなく感じてしまい、要素を詰め込みすぎる傾向があります。
余白をうまく使うには、「そもそも何を伝えたいのか?」についての明確な答えを持っている必要があります。例として、イベントの告知用フライヤーを制作するときのことを考えてみましょう。おそらく次のような情報群が候補となると思います。
・イベント名
・開催日時
・開催場所
・地図
・対象者
・費用や予約の有無
・主催者/共催者
・イベント内容
・写真やイラスト
これらの情報は決して同格ではありません。すでにブランディングされており、イベント名だけで参加者が集まる場合は「イベント名」が、開催日時まで時間がなく、スケジュールの調整を優先してほしい場合は「開催日時」が、誰でも参加できることをウリにしたい場合は「費用や予約の有無」などがポイントになりそうです。強く訴えるべき情報は、要素周囲の余白を十分にとり、特別扱いする必要があります。余白をきちんと設計するためにも、デザイン作業の前に情報の網羅と優先順位付けをしなければいけません。
コントラストやメリハリとほぼ同じことですが、余白があるとデザインにリズムや心地よさがうまれます。大きな余白は「無音」や「予感」を演出し、その後に続く要素を引き立てる役割があります。これを適度に使うことで、心地よいデザインとなります。
紙面や画面に対して、どれくらいの余白が合ったほうが良いか、というのはなかなか難しい問いです。いわゆるセンスのあるデザイナーはこれを無意識にできているかもしれませんが、そうでない場合は「黄金比」や「フィボナッチ数列」などに頼るのはどうでしょうか。要素と余白の比率が黄金比やフィボナッチ数列の数値に近くなるように調整できれば、人が見て心地よいデザインに近づけられます。
余白はただの「余った場所」ではなく、意味のあるデザインの一部であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。デザインをする場合よりも、デザインを依頼する場合に「余白の大切さや意味」を理解しておく必要があります。デザイナーは、すべての要素とその配置に意味を持たせているはずです。デザイナーが制作したデザインに「あ、これも入れなきゃいけないのを忘れてたから適当に追加しておいて」と依頼するのは、「もう一度全部やり直して」とお願いするのと全く同じです。事前に情報設計をすることは、デザインする側、デザインを依頼する側問わず大切なことです。

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