良いデザインと悪いデザイン15:猫でもできるグラフィックデザイン18

今回のキーワードは「擬人化形状」です。人間は、集団を作って生活する「社会性」をもった生き物です。同種である人間を問題なく認識できるように、脳は人の形をしたものを素早く見つけ、それを心地よく感じる性質があります。

人に似せて作ったものといえば「人形」でしょう。人形は小さな子どもに与えるおもちゃとしても一般的で、古い遺跡などからも人の形をした玩具やまじないの道具が発掘されることもあります。性別や年代、時代、文化を問わず、人形には心を引きつける何かがあるのでしょう。

2000年代に提案され、2010年代に注目を集めた「ゆるキャラ」も、人形の一つと言えます。ゆるキャラといえば「着ぐるみ」です。当初はデザインありき、アイデアありきで制作していたゆるキャラですが、いつの間にか着ぐるみありきで制作されるようになり、より人の形に近いデザインが増えていったのは興味深いところです。ゆるキャラと同様、街おこしや地域おこしで使われることが多い「萌え」を取り入れたキャラクターも、人の形をしているものが多いです。キャラクターのなかには、特産物や自治体の形などを取り入れたものもありますが、そのいずれも擬人化して用いられます。人の形にしたり、人の特徴を与えることで、抵抗感を減らしたり魅力を高める効果を期待しています。

人の形をしていればなんでもよいかといえばそうではありません。形が人に近づきすぎると、逆に嫌悪感が生まれてくるそうです。これを「不気味の谷現象」といいます。正確には外観だけでなく動作なども対象とした言葉ですが、人形やロボットなどの写実や再現の精度が高まると、違和感や恐怖感、嫌悪感、薄気味悪さといった負の要素が、強く、それも唐突に現れるというものです。キャラクターとしては、適切にデフォルメされているものが好まれるようです。

「不気味の谷現象」は人間に近づきすぎたことで起こりますが、逆に人間から離れた場合はどうでしょうか。擬人化形状の効果は、一見しただけでは人を模しているかどうかわからないものでもあらわれます。

おそらく擬人化形状の例として一番有名で、一番効果的だったのは「コカ・コーラの瓶」の形状ではないでしょうか。現在は缶やペットボトルが一般的となっているため、瓶を手にする機会は少なくなってしましましたが、コカ・コーラの瓶の形は女性の体のラインを想起させます。それを狙って作られたというわけではありませんが、マーケティングの過程でこの瓶の形を指してそれらしいネーミングを与えられたこともあります。もともとはカカオ豆のイラストから想起したデザインのようです。

いずれにせよ、人間は人の形をしているものを探しだすのに長けており、愛着や親しみを持ちやすいのは間違いなさそうです。

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