デザインの練習(ATMのデザイン4):猫でもできるグラフィックデザイン47
今回からATMのインターフェイスの工夫について見てみます。パソコンのオフィス系のアプリケーションやスマホのゲームなどは、ある程度デジタルなUIになれた人を対象に開発されています。ATMのようにユーザーを限定出来ない機械では、それを踏まえてUIのデザインをしなければなりません。
キャッシュディスペンサーでは、ユーザーとのやり取りはシンプルでした。キャッシュカードで利用者の情報を特定出来れば、あとは暗証番号を確認して、引き出す金額をたずねるだけでよいのです。画面にもそれほど大きさがもとめられず、番号や金額のような数字と、口座名だけで十分でした。これに預け入れの機能が加わったとしても、それほど複雑なインターフェイスは必要ありません。引き出す場合と比べると、引き出す金額の入力がなくなり、そのかわりに預入しようとする金額の確認画面が増えるだけです。複雑さが増すのは他の口座への振り込みをする場合です。
他の口座への振込も、同じ銀行への場合と他の銀行への場合とでは複雑さが異なります。一番複雑と思われる、「他行への振り込み」の場合についてステップを追ってみましょう。
・画面をタッチしてスタート
・メニューから「振り込み」を選ぶ
・手数料について承認する
・カードを入れる
・静脈認証などを行う
・暗証番号を入力
・振込先の銀行を選ぶ
・振込先の支店番号/種目を入力
・振込先の名義人/口座番号を入力
・振り込む金額を決める
・確認する
・カード/取引明細書を受け取る
順番が異なったり、省略されるステップもありますが、おおむねこんな感じです。この中で複雑なのは「振込先の銀行を選ぶ」以降のステップです。日本国内には、信託銀行や信用金庫などをのぞいても120を超える銀行が存在します。これらを一画面にまとめて表示することはできません。これに対応するには、銀行をカテゴライズして表示するとよいでしょう。
上手なカテゴライズのためには「LATCH」が便利です。LATCHは
・LOCATION(位置)
・ALPHABET(アルファベット)
・TIME(時間)
・CATEGORY(分野)
・HIERARCHY(階層)
の頭文字をとって命名されており、世の中にあるすべての情報はこの5つの基準によって組織化(≒分類)できるとされています。LATCHについては別の機会に詳細にまとめてみます。スムーズにひとつの銀行を指定するには、どのように銀行を分類すればよいでしょうか。